人気ブログランキング | 話題のタグを見る

二つの月_5

長編連載しようと思ったとたんに仕事やら何やら忙しくなるって…相変わらず私は間の悪い人だなーと。

うん、まーそんなもんですw

あ、Hello, Again管理人の番外編の人さん(言いづらい名前だねしかしw)が二つの月の紹介をしてくれてました…あらら恥ずかしい&ありがとう。
いいんだよ?私なんて妄想大王で。むしろそう呼んでおくれよ!w



てことで、続きいきます。
全開…ってコレはなのはさん的な変換!
もとい!
前回書きましたが、今日の更新はなまら短いです。北海道弁です。




 ***



気付いたら私は、さっきの現場にいた。
次に会うときなんて、一体いつだと言うのだろう?
本当にまた会えるのか……ちゃんと話が出来るのか……。


「んん……あれ、フェイト、さん?」
「ティアナ、大丈夫?」
「はい……えと、何が……? あ! 犯人はどこへ行ったんですか!?」
「ごめん、私もわからないんだ」



嘘をついた。



「え? 逃げられたっていうことですか? すいません私のせい、ですか?」
「違うよ大丈夫、私が油断してたんだ。それより大丈夫? 怪我は無い?」
「ああはい。どこも……痛くないですね、あんな砲撃を受けたのに」
「そう、良かった……安心した」
「非殺傷設定だったんでしょうか?」
「たぶんそうだったんだろうと思う」
「何ででしょう? というか何で襲われたんでしょう……犯人は何が――」
「ティアナ、とりあえず本局に戻ろう」
「え? でも捜査はしなくてもいいんですか?」
「もう私が済ませたから……まずは念のため医療施設に行こう」
「大丈夫ですよ、だから私もちゃんと調べます」
「いいんだ……今はティアナの身体が心配だから」
「そう、ですか……わかりました」



また、嘘をついた。



ティアナの身体が心配というのは本当だけど、たぶん問題は無いと思う。
彼女は……ティアナを守るように結界を展開していたのだから。
当然攻撃もダメージを与えるためではなかったはず。
本当は何も調べてなんていないけど、今はとにかくゆっくり考える時間が欲しい。
それに、彼女のことは今は誰にも知られたくない……。


「フェイトさんこそ顔色悪いですよ、大丈夫ですか?」
「ああうん、私は大丈夫、行こう」
「……了解しました」


彼女のことを隠して私はどうしたらいいんだろう。
情報隠蔽になるから、何らかの処分は免れないんだろうな……。
でも、それでも……もし彼女の存在が管理局に知られたら、彼女は捕まってしまう。
罪を償って、それで私達の世界でいつかやり直せるなら、それが最善だとは思う。
でも、気になるのは彼女が自分の意思とは関係なく憎悪感を募らせるということ。

……本当はすごくいい子なんだ。

会ったのは本当に短い時間だったのに、私にはわかる。
彼女は憎悪感を必死に抑えていた……そんな感情が私に流れ込んできた。
憎悪と一緒に、本当は誰も傷つけたくなんか無いという優しい気持ちも……。
ティアナの安全を確保していたことからもそれはわかる。
でも、過去に彼女が起こした強奪事件では、容赦なく武装兵に攻撃を仕掛けて怪我をさせている。

きっと、押さえられないほど憎悪が溢れてしまうことがあるんだろう……。

こんなこと、管理局の頭の固い連中にすぐには信じてもらえない。
彼女の気持ちと共鳴出来る私にしか、きっとわからない……。
ただの凶悪犯だとされて、捕らえられてしまう。
仮に理解してもらえたとして、穏便に捕まるとも思えないし裁判などしている時間は無い……
その前に彼女は憎悪の塊となってしまうかもしれない。

そのときはどうなる?
次元震を起こして世界を崩壊させる?
それともその前にこの世界そのものに攻撃を仕掛けてくる?
そんなことはさせない、私はなのはのいるこの世界を守る。

自分だけでどうにか出来る問題では無いのはわかっていた。
でも少しだけでいい、どうにか出来ないかどうしても足掻きたかった。




 ―*―*―*―




私はあの日からずっとジュエルシードのことを調べていた。
ティアナとシャーリーには私のせいで迷惑がかからないよう、最低限の事務処理と他の簡単な事件を任せることにして、とりあえずこの事件には関わりが少なくなるようにしておいた。
執務官試験を受けるティアナには申し訳ないとは思ったけど
もし私が処分を受けることになっても、彼女達にそれが及ばないようにしなければならない。


PT事件とJS事件があって何度も調べつくしていたと思っていたジュエルシードだけど、違う視点から調べていくとこれまでに見えなかったこともわかってきた。
ジュエルシードにだけ囚われて視野が狭くなっていたのかもしれない。
さすがにロストロギアを使って人造生命体を作るなんてことは過去の文献には無かったけど、中には人間と融合したり、その精神を乗っ取るようなものもあったということがわかった。

ただ、過去に人間と融合させて悪用されたロストロギアは、ほぼ例外なく宿主を乗っ取り暴発して最悪の結果になっている……。
稀に上手く融合した事例もあるようだが、それはたまたま遺伝子的に波長が合っていた場合だけ、というこのとようだ。

「遺伝子……か」
彼女が私と同じ人造生命体だというのなら、その遺伝子というのはどうなっているのだろうか。
いや、私はちゃんと人間であるということは証明されたのだけど……。
事実がわかってくるにつれて、解決策が導き出されるどころかどんどん迷宮にはまってきているようにしか感じない。


完全に融合したらどうなるのか。
その答えに辿り着いた時、私は絶望にも似た気持ちに襲われた。


――完全に融合したら、もう封印することは無理
――そうなったら外部からの干渉は不可能
――暴発させないためには融合体が自らを封印するしか無い


自らを封印とは……平たく言えば自殺にも等しい行為のことだろう。

では過去に完全に融合した事実があったのか?
それを調べようと躍起になってみたが、残念ながら未だそれはわからなかった。

もう私1人ではこれが限界なのか……。
ユーノに頼ってみるしかない、のかな。
彼は無限書庫の司書長だし、なによりジュエルシードを発掘したのはスクライア一族だから、私なんかよりもよっぽど真実にたどり着ける可能性が近いだろう。
時間が、無い。
あれからもう10日経つ。
彼女がジュエルシードを強奪してきたスパンはほぼ1ヶ月くらいだということを考えれば、まだ少しは猶予があるかもしれないけど。
でもそれまでに彼女を救う方法を見つけられるかわからない。



――フェイト、次に会うときまで……一緒に行くか、決めて



彼女の言葉が頭の中をリフレインする。
次に会うとき、それは……いつ?
【web拍手】   

by sknow | 2009-03-25 22:43 | SS:二つの月(長編/連載中)

『マッピー』用ボーダー

<< あ! 二つの月_4 >>